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ユビソヤナギとオノエヤナギの葉による区別

2008年3月21日
文:仙植連 下山 祐樹

ユビソヤナギについて

発見は1972年。名前の由来は最初に発見された群馬県の湯檜曽川による。分布は、かつては群馬県の湯檜曽川沿いと宮城県の鳴瀬川、江合川沿いのみの隔離分布とされていたが、その後岩手県の和賀川上流部や秋田県でも分布が確認され、最近では福島県只見川水系(2003年)、山形県東大鳥川・荒川上流部(2006年)と相次いで新産地が発見されている。なぜこのように新産地の記録が相次いでいるのかというと、本種はオノエヤナギと外見が似ており、また同所的に分布しているため、見落とされていたというのが真実だろう。「花が大きいオノエヤナギがあるなぁと思っていたら、それがユビソヤナギだったんだよ」という、恩師が宮城県でユビソヤナギを発見した時の話を思い出した。
記:エコリス 吉田

目次

  1. 全体
  2. 鋸歯
  3. 成葉の葉裏の毛
  4. 若い葉の裏面の毛

1.全体

ユビソヤナギSalix hukaoana KimuraとオノエヤナギSalix udensis Trautv. et C.A.Mey.は、全長・幅・形・色・葉柄の長さがいずれもほぼ同様である。一見しただけでは区別しにくい。

  • 図1ユビソヤナギの葉(表面)標本:2004年8月13日群馬県湯檜曽川

    図1ユビソヤナギの葉(表面)
    標本:2004年8月13日群馬県湯檜曽川

  • 図2ユビソヤナギの葉(裏面)標本:2004年8月13日群馬県湯檜曽川

    図2ユビソヤナギの葉(裏面)
    標本:2004年8月13日群馬県湯檜曽川

  • 図3オノエヤナギの葉(表面)標本:2004年8月31日岩手県胆沢川

    図3オノエヤナギの葉(表面)
    標本:2004年8月31日岩手県胆沢川

  • 図4オノエヤナギの葉(裏面)標本:2004年8月31日岩手県胆沢川

    図4オノエヤナギの葉(裏面)
    標本:2004年8月31日岩手県胆沢川

2.鋸歯

ユビソヤナギは波状鋸歯であるが、先がわずかに尖る。オノエヤナギは完全な波状鋸歯で、先が尖ることは無い。

  • 図5ユビソヤナギの葉の鋸歯(表面)標本:2004年8月13日群馬県湯檜曽川

    図5ユビソヤナギの葉の鋸歯(表面)
    標本:2004年8月13日群馬県湯檜曽川

  • 図6ユビソヤナギの葉の鋸歯(裏面)標本:2004年8月13日群馬県湯檜曽川

    図6ユビソヤナギの葉の鋸歯(裏面)
    標本:2004年8月13日群馬県湯檜曽川

  • 図7オノエヤナギの葉の鋸歯(表面)標本:2004年8月31日岩手県胆沢川

    図7オノエヤナギの葉の鋸歯(表面)
    標本:2004年8月31日岩手県胆沢川

  • 図8オノエヤナギの葉の鋸歯(裏面)標本:2004年8月31日岩手県胆沢川

    図8オノエヤナギの葉の鋸歯(裏面)
    標本:2004年8月31日岩手県胆沢川

3.成葉の葉裏の毛

ユビソヤナギの葉の裏には縮れた毛があり、オノエヤナギには上向きの伏した絹毛がある(いずれの種も毛の量には個体差があり、ほぼ無毛となることも多い)。

  • 図9ユビソヤナギの葉裏面の毛(スケールの1目盛りは1㎜)標本:2004年8月13日群馬県湯檜曽川

    図9ユビソヤナギの葉裏面の毛
    (スケールの1目盛りは1㎜)
    標本:2004年8月13日群馬県湯檜曽川

  • 図10オノエヤナギの葉裏面の毛(スケールの1目盛りは1㎜)標本:2004年8月31日岩手県胆沢川

    図10オノエヤナギの葉裏面の毛
    (スケールの1目盛りは1㎜)
    標本:2004年8月31日岩手県胆沢川

4.若い葉の裏面の毛

ユビソヤナギの若い葉の裏面には縮れた毛が密生し、バッコヤナギのようになる。オノエヤナギは絹毛が多く、エゾノキヌヤナギのように密生していることもある。

  • 図11ユビソヤナギの若い葉標本:2005年6月5日宮城県鳴瀬川

    図11ユビソヤナギの若い葉
    標本:2005年6月5日宮城県鳴瀬川

  • 図12オノエヤナギの若い葉標本:2005年6月5日宮城県鳴瀬川

    図12オノエヤナギの若い葉
    標本:2005年6月5日宮城県鳴瀬川

  • 図13ユビソヤナギの若い葉の裏面の毛(スケールの1目盛りは1㎜)標本:2005年6月5日宮城県鳴瀬川

    図13ユビソヤナギの若い葉の裏面の毛
    (スケールの1目盛りは1㎜)
    標本:2005年6月5日宮城県鳴瀬川

  • 図14オノエヤナギの若い葉の裏面の毛(スケールの1目盛りは1㎜)標本:2005年6月5日宮城県鳴瀬川

    図14オノエヤナギの若い葉の裏面の毛
    (スケールの1目盛りは1㎜)
    標本:2005年6月5日宮城県鳴瀬川

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