ヤマアカガエル(Rana ornativentris)
生態
ヤマアカガエル 学名 Rana ornativentris
ヤマアカガエル(Rana ornativentris)は、体長4~7cmほどの両生類の一種である。本州、四国、九州、佐渡島に分布する。成体は、平地から山地の森林とその周辺の田んぼに生息する。
2~6月には、水田や渓流部の止水、池や沼、湿地などの、浅くて日当たりの良い場所で産卵する。6~8月ごろにオタマジャクシから変態し、冬には溝や水田の水底の泥の中、土中などで冬眠する。
幼生は雑食で、落ち葉や水生昆虫などを餌にし、成体は動物食で、昆虫、ミミズ、ナメクジ、貝などを餌にする。また、アナグマ、イタチ、サギ類などに捕食される。
環境要因の選定(BPJ)
ヤマアカガエルは、平地から山地までの広範囲に生息するが、平地よりも丘陵地から山地にかけての方がより多く確認される。ただし、標高が高すぎても、生息数は減少する。
日当たりが良く浅い止水域である水田は、ヤマアカガエルにとって最も産卵に適した環境である。産卵に適した止水域からの距離が近い場所ほど、成体にとって良い条件である。また、当然ながら幼生(オタマジャクシ)の生息環境としても止水域は必須である。
非繁殖期の成体は森林内を生息環境とし、そこで昆虫やミミズなどを捕食する。そのため、行動圏の範囲以内の距離に森林が存在する必要がある。また、まとまった面積の森林は、生態系が豊かで、良質な生息環境が多く存在する。ただし森林が道路によって分断されていると、移動阻害となり条件が悪くなる。
ハビタット変数の設定
BPJによる生息条件とハビタット変数の関係
SI値の設定
V1:標高
| 標高 | SI |
|---|---|
| 0~50m | 0.0 |
| 50~1500m | 1.0 |
| 1500m~ | 0.5 |
標高を、平地、丘陵地、山地などの地形を表す変数とする。丘陵地および山地(標高50~1500m)は、生息適地であるためSI=1.0と設定する。標高1500m以上の山地は、生息適地ではないが生息可能であり、SI=0.5と設定する。標高50m以下は、生息不適地なのでSI=0.0と設定する。
V2:土地利用
| 土地利用 | SI |
|---|---|
| 水田 | 1.0 |
| 放棄水田(休耕田) | 0.3 |
| 池 | 0.3 |
| 市街地 | 0 |
| その他 | 0.1 |
土地利用を、水田や池などの止水域の種類を表す変数とする。
水田は産卵環境として適しているため、水田をSI=1.0と設定する。放棄水田は産卵環境として不適な場合が多いが、産卵できる環境が局所的にある可能性があるため、放棄水田をSI=0.3と設定する。池は岸際の平らで浅い箇所に産卵する場合があるので、池をSI=0.3と設定する。市街地には産卵しないものと仮定し、市街地をSI=0と設定する。これら以外の環境には産卵場は非常に少ないと仮定してその他をSI=0.1と設定する。
V3:止水域までの距離
V2の内、水田、放棄水田、池を止水域とし、そこからの距離を変数とする。止水域はヤマアカガエルにとって理想的な産卵環境であり、成体にとっては森林が止水域に接しているのが理想的な生息環境であるため、距離0mをSI=1と設定。また前述の通り止水域以外にも産卵環境は存在するので、ヤマアカガエルの分散能を考慮して、距離1000mをSI=0.2と設定。

V4:500m圏森林面積
半径500m圏森林面積をまとまった森林を表す変数とする。森林面積が8割以上を占める環境は、まとまった森林が存在し、ヤマアカガエルの生息適地である。そこでこれをSI=1.0と設定する。まとまった森林が存在しないところはSI=0と設定する。

V5:500m圏道路延長
500m圏道路延長を、どれだけ森林が分断されるかを表す変数とする。半径500m圏を分断する最短の道路延長である1kmを、SI=0.2と設定する。逆に道路がなければ移動阻害となる障害物がないということで、道路延長が0kmをSI=1.0と設定する。

V6:森林までの距離
産卵場が森林と接しているのが理想的な産卵環境であるため、距離0mのSI=1と設定。またヤマアカガエルの産卵地からの移動距離は1000m以上という報告があることから、距離1000mのSI=0と設定。

HSIの算出
V1~V6の幾何平均を用いる。
※地図上では、HSI>0.4を表示
考察
水田の有無がHSIに効きすぎているかもしれない。
モデルの適用範囲
制限は特になし。
利用データ
- 自然環境基礎調査 植生図
- 基盤地図情報 標高
- 基盤地図情報 道路縁
- 国土数値情報 河川






