テクニカルノート

ツキノワグマHSIモデル

文:環境情報室 水谷 貴行 2009年9月14日

ツキノワグマ(Ursus thibetanus


生態

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ツキノワグマ Ursus thibetanus

ツキノワグマ(Ursus thibetanus)は、頭胴長120~145cm、体重70~120Kgほどの大型哺乳類である。本州、四国に分布し、九州では絶滅した可能性が高い。海岸線から高山帯までの落葉広葉樹林を中心に生息する。

繁殖可能年齢は、オスは2~3歳、メスは2~4歳からで、交尾期は5~7月である。12~4月には大木の樹洞や岩穴、土穴で冬眠する。冬眠中に2~3年間隔で1~2頭幼獣を出産する。

食性は、雑食だが基本的には植物食で、春にはブナの新芽や草本類を、夏には草本類のほかササ類のタケノコ、イチゴやサクラなどの液化類、アリやハチなどの昆虫類を食べる。秋には冬眠に備え、クリ、ミズナラ、コナラ、ブナなどのドングリや、オニグルミ、ヤマブドウ、サルナシ、アケビなどの種子や果実を大量に食べる。

年間の行動圏は平均してオスで70Km2、メスで40Km2程度だが、個体によって差がある。基本的にはオスの行動圏の方がメスよりも広い。

環境要因の選定(BPJ)

「冬眠、出産場所となる奥山に続く森林内で、良質なエサが豊富にあるところ」

ハビタット変数の設定

BPJによる生息条件とハビタット変数の関係

BPJによる生息条件とハビタット変数の関係

SI値の設定

V1:10Km圏森林面積

半径10Km圏森林面積を、奥山に続く森林を表す変数とする。半径10Km圏すべてが森林である地域は、冬眠に最適な奥山でありSI=1.0と設定する。森林の面積が6割以下になると森林が小さなパッチに分断されている可能性が急激に高くなるので、SI の傾きを急に設定する。森林の面積が3割以下の場合、奥山に続く地域の可能性が極めて低いのでSI=0と設定する。
V1:10Km圏森林面積

V2:1Km圏エサの量

半径1Km圏のエサの量を、良質なエサが豊富にある場所を表す変数とする。エサの量は、植生の種類に応じて0~1で重み付けを行い、その合計値によってSIを決定する。半径1Km圏の8割以上が良質のエサとなる場合SI=1.0と設定する。半径1Km圏にエサとなる植生がない場合SI=0と設定する。

V2:1Km圏エサの量
植生重み付け
ブナやコナラなど
エサとなる実がなる樹木
1.0
ササや広葉草原などの
エサとなる草本
0.5
畑地、果樹園0.3
その他の植生0.1
人工地0

HSIの算出

HSI = V11/2×V21/2

V1およびV2はともに、ツキノワグマの生息に不可欠な環境要因のため、幾何平均を用いる。

考察と課題

下北、津軽、白神、鳥海、月山、朝日、北上、奥羽地域が生息地である。
SIの設定において、半径10Km圏、半径1Km圏の根拠は特にない。この部分は、要検討事項である。
SIの設定において、エサによる重み付けの根拠は特にない。カロリー計算をしてみると良いかもしれない。

モデルの適用範囲

制限は特になし。

利用データ

  • 自然環境基礎調査 植生図

参考文献

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