- 「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の基盤地図情報を使用した。
(承認番号 平22業使、第133号)」 - 「この地図の作成に当たっては、自然環境情報GISデータ 第2-5回植生調査重ね合わせを使用した。」
目次
はじめに
Maxent(http://www.cs.princeton.edu/~schapire/maxent/)というソフトを利用して、東北地方におけるクマタカの営巣適地を抽出しましたので、その方法と結果を紹介します。
1. Maxentとは?
Maxentとは、現地調査で得られた確認位置と環境データから動植物の生息適地を推測するソフトです。Maxentでは、最大エントロピー原理(maximum-entropy approach)を利用して計算を行ないます。そのため、ロジスティック回帰分析とは異なり「確認できなかった地点」を用意する必要がなく、高精度に推測を行うことができます。
2. ソフトのインストール
http://www.cs.princeton.edu/~schapire/maxent/
Maxentのホームページから、Name(名前)、Institution(所属)、Email(メール)を入力し「Acccept terms and download」を押してソフトをダウンロードします。ダウンロードしたファイルを解凍して、そのなかのmaxent.batをダブルクリックするとソフトが起動します。(うまく起動しない場合はJavaをインストールする必要があるかもしれません)
Maxentのホームページにはチュートリアルやサンプルデータ、google グループへのリンク(ディスカッションのページ、論文などの資料置き場)があるので、詳細な情報はそこから得ることができます。
3. データの準備
Maxentを利用するには「対象とする種の確認位置(緯度、経度)」と「推測地域の環境データ(地形、植生など)」が必要です。以下、クマタカの営巣適地を推測する方法を例に、具体的に説明します。
既存の調査で確認されたクマタカの営巣位置情報をCSVファイル(カンマ区切り)としてkumataka.csvに以下の表のように記述します。最初の列には、対象とする種名を入力します。複数入力できますが、今回の対象はクマタカだけなので、kumatakaと入力します。2番目の列には、確認位置のX座標の値、3番目の列には、Y座標の値を入力します。緯度経度であれば、経度、緯度の順番になります。座標系は、緯度経度の他に、UTM座標や平面直角座標でも構いませんが、環境データの座標系と同じ必要があります。
(※↓は架空のデータです。)
| species | x | y |
| kumataka | 135.113 | 35.344 |
| kumataka | 136.123 | 36.234 |
| kumataka | 136.343 | 35.533 |
クマタカの営巣条件と関係すると思われる数種類の環境データを、ラスターデータ(ESRIの.ascフォーマット)で用意します。環境データの範囲は営巣適地を推測したい範囲で、かつ上記の確認位置を含む範囲で用意します。
今回は、以下の7種類の環境データを用意しました。
- V1: 2.5Km圏森林面積
- V2: 標高
- V3: 2.5Km相対高度
- V4: 100m圏標高差
- V5: 20m圏最大傾斜
- V6: 100m圏相対高度
- V7: 樹林の有無
これらの環境データは、GISを利用して、各機関から提供されている標高データや植生データなどの1次データから、対象とする種に適合したスケールや情報に加工して作成します。環境データの座標系はすべて確認位置の座標系と同じにしておく必要があります。また、環境データのセルサイズは、すべて同じ必要があります。
4. ソフトの使用方法
maxent.batをダブルクリックしてソフトを起動すると、↓の画面が表示されます。

maxent起動画面
確認位置データと環境データの読み込み
左上のSamplesのBrowseを押して、確認位置データkumataka.csvを選択します。kumataka.csvのspeciesの列には、kumatakaのみ入力してあるので、kumatakaだけが対象種として読み込まれています。その次に、右上のEnviromental layersのBrowseを押して、環境データが入っているフォルダを選択します。フォルダの中の.ascファイルがすべて読み込まれて 表示されます。環境データの種類によって、カテゴリーデータかどうかを選択します。また、使用しないデータがあればそのチェックをはずします。
出力のオプション設定
- ・Linear feature、Quadratic feature、、、Auto feature
計算に使用するモデル式の形式を指定できます。線形、2次式、交互作用項、閾値、ヒンジ、カテゴリが選択できます。Auto featuresにしておけば、最適なモデル式を自動で選択してくれます。 - ・Create response curves
環境データごとの適合度の変化を表すグラフを出力するかどうかを選択します。 - ・Make pictures of predictions
推測結果を地図画像で出力するかどうかを選択します。 - ・Do jackkife to measure variable importance
ジャックナイフ法による環境データの評価を出力するかどうかを選択します。Output formatでは、出力するデータ形式を選択します。データ形式は、Logistic、Cumlative、Rawの3種類があります。デフォルトは、Logisticになっており、不適地~適地が0~1に対応しています。 - ・Output file type
出力されるラスターファイルの形式で、デフォルトは.ascになっています。Output directoryのBrowseを押して、出力先のフォルダを選択します。 - ・Projection layers directory/file
一部の環境データの違いによる予測の違いを評価する際に使用しますが、通常は使用しません。
入力データと出力の設定が終わったら、Runを押して計算を実行します。Settingsでは、その他、詳細な設定が可能ですが、詳しくはmaxentのホームページなどを参考にしてください。
5. 結果の出力
まとめ
Maxentを利用すれば、動植物の広域な生息適地モデルを簡単に作成することができます。モデルの妥当性を評価して、ある程度の精度が認められれば、その結果を戦略的環境アセスメントや生物多様性の評価に利用することも考えられます。このソフトが自然環境の保全に役立てることができればと思い、簡単にではありますが紹介させていただきました。
※公開した地図は、保全の観点から表示できる縮尺を制限しています。実際には、詳細な縮尺で結果を確認することができます。







