目撃法・フィールドサイン法
調査範囲内を踏査し、実個体の目視確認に努めるほか、生活痕(フィールドサイン)から生息状況を把握します。フィールドサインには足跡、糞、食痕、爪痕などがあり、その痕跡から種を特定することができます。
カモシカの目視
雪上のノウサギ足跡
トラップ法
目撃法・フィールドサイン法で確認が困難なノネズミ類・モグラ類などの小型哺乳類については、トラップを用いた捕獲調査が効果的です。捕獲された個体は計測・写真撮影をした後、放逐します。
※調査は各都道府県の鳥獣捕獲許可を得てから実施します。
- ○モールトラップ
- ○ピットフォールトラップ(落とし穴)
- ○カゴ罠
- ○シャーマントラップ
ノネズミ類
アルミ製の生け捕り罠(シャーマン型トラップ)にピーナッツなどの誘引用の餌を入れて設置します。東北では、アカネズミやヒメネズミをはじめ、ハタネズミ、トウホクヤチネズミ、スミスネズミ等の多くのノネズミ類がこのシャーマン型トラップで捕獲することができます。
シャーマン型トラップ
アカネズミ
ヒメネズミ
カワネズミ
カワネズミは日本の固有種で、川で魚や水棲昆虫などを捕食して生活しています。生け捕り罠(カゴトラップ)にイワナやヤマメなどの誘引用の餌を入れて設置します。
カゴトラップ
カワネズミ
トガリネズミ類・ヒミズ等
トガリネズミやジネズミ、ヒミズ等のジャンプ力の弱い種を捕獲対象とする際には、ピットフォールトラップ(落とし穴)を使用します。口径20cm程度のバケツを地中に埋設し、地表面で活動する生きものを捕獲する方法です。
ヒミズ捕獲状況
モグラ類
地中性のモグラ類を捕獲対象とする際には、モールトラップを使用します。モグラ塚周辺の、頻繁に利用していると思われるトンネル内に埋設し、通過しようとした個体を捕獲します。調査では、トラップを設置するトンネル選びが重要です。
モールトラップ
自動撮影調査法
夜行性の哺乳類は目視による確認が困難な場合があります。その際には、動物が頻繁に往来していると考えられる「けもの道」や「林道」、「小径」にセンサーカメラを設置して、自動撮影調査を行います。
自動撮影装置
ムササビ
タヌキ
巣箱・樹洞調査
ヤマネやモモンガ、ムササビ、コウモリ類のように樹洞を巣として利用する種を対象とした調査では、設置した巣箱を見回る巣箱調査や、樹洞内を直接確認する樹洞調査が有効です。樹洞調査では、白色LED内臓の小型CCDカメラを竿の先に装着し、高所にある樹洞内の様子を録画します。
樹洞調査用CCD
コウモリ調査
コウモリ類の多くは超音波を発し、エコーロケーション(反響定位)を利用して飛行します。コウモリの夜間調査では、その超音波を人の耳で聴こえる可聴音に変換するバットディテクターを使用します。必要に応じてカスミ網やハープトラップを用いた捕獲調査も行います。
バットディテクター
ハープトラップ